市販のバドダイポール・アンテナを利用した50MHz用の移動用デルタループアンテナです
1本でHFから144MHzまで使用できる移動用のダイポールアンテナとして有名なUSのW3FF局が開発販売しているアンテナセットで、日本でも手軽に手に入ります。
このアンテナは、HFでは短縮されているために省スペースで移動局の設営ができます。しかし、50MHzでは短縮コイルを使わない単な るダイポールアンテナです。設置スタイルも水平であるためSWRは決して良いものではありません。 HFメインで運用される方にはあまり魅力があるアンテ ナではないでしょう。 しかし、50MHzはコンディションが良いとEs通信も楽しめます。
そこで、今までのデルタループ作りのノウハウを活用してこのバドダイポールをデルタループにしようと考えました。 もちろん、今まで通りの使い方もできます。
試作アンテナの作製状況を順次ご紹介したいと思います。
作製のコンセプト
作製にあたってコンセプトを考えました。それは、初代の100円ショップで集めた材料で作ったデルタループ以来の使いやすさを主眼に置くことです。
- 工具を使わない組立/分解
- 簡単組立/分解
- 無調整
- 低SWR
ローコスト
そして、ユーザーのターゲットは「ミニ・バドダイポール」をすでにお持ちの方としました。 もちろん、このページをご覧いただいてバドダイポールに興味を持ち改めてご購入いただいてもOKです。
また、すでにミニではない標準の「バドダイポール」をお持ちの方でも工夫次第で利用できるようにもしたいと思います。
□ 使用上の条件
先にも書きましたが今回の作製では「ミニ・バドダイポール」を持っていることに加えてもう一つ必要なものがあります。 それは、「マスト」です。
バドダイポールには、専用のマストがあります。今回もそのマストを利用します。 専用と言っても、マストの 先端部分に「Center T」が取り付けられるようにネジが切ってあればいいのです。 実際私は専用のマストは持っていません、ハムフェアでアンテナを購入したときにおまけでつけ てもらった「N式アダプター」と呼ばれる16mmのネジが切ってある水道用継ぎ手を使用しています。それ以外のマストをご利用の方は別途アンテナの固定方 法を考える必要があります。
市販の4.5mの伸縮マストにN式アダプタをつけた状態
N式アダプタに給電部分のCenter-Tをつけた状態
注意) 私は、純正のマストを持っていませんので今回の作成するものが取り付けられる保証はありません。
□ 使用するパーツ
今回のデルタループ化でオリジナルのミニ・バドダイポールから使用するパーツは、「ロッドアンテナ」と「アンテナ・アーム」をそれぞれ2本ずつ使います、それ以外に必要なものは作製します。
作製するものは、
・天頂エレメント
・Qマッチセクション
・エレメントフォルダ
・アンテナアーム用アダプタ
です。順に説明します。
◇天頂エレメント
天頂エレメントは、0.3sqのより線の先端に目玉クリップをつけたものです。
目玉クリップは、ロッドアンテナの先端の一番細いところに止まるサイズのものを使います。ワイヤーの長さ は、短いとロッドアンテナが撓ってしまいますし、長いと弛んでしまいます。 しかし、撓るほど短くするとロッドアンテナのスライド部分が広がる可能性があ るので少し長い目にしておきます。
◇Qマッチセクション
Qマッチセクションは、75Ωの同軸ケーブルを使用したインピーダンス変換器で、過去に作製したオーソドックスなタイプのものです。今回は、エレメントフォルダへの接続を考えて先端部分にバナナプラグをつけます。
◇エレメントフォルダ
マストとエレメントを結合するクロスマウントです。材料は塩ビのL字部とマストにねじ込む雌ネジからできています。抜け止めと空回り防止用にビスで固定します。
◇アンテナアーム用アダプタ
アンテナアーム用アダプタは、斜エレメントとして使用するアンテナアームに取り付け、エレメントフォルダ(クロスマウント)に差し込み給電用バナナプラグのジャック部分としても機能します。
□組み立て
以上のパーツの用意ができれば後は組み立てるだけです。使用するマストは、上記「N式アダプタ」を付けた伸縮ポールの使用を前提にしています。
1. エレメントホルダーをマストにねじ込みます。この時、エレメントホルダーに十分手が届く高さにマストを短くしておきます。マストは垂直にしておく方が良いと思います。
2. アンテナアーム用アダプタをアンテナアームにねじ込みます。ミニバドダイポールの場合は、片側につき1本だけ使います。
3. アンテナアームにロッドアンテナをねじ込みます。
4. ロッドアンテナの先に天頂エレメントの目玉クリップを挟みます。
5. 2本のエレメントを同様に準備します。
6. 障害物に注意しながら2本のロッドアンテナをのばします。
7. 逆三角形にしながらエレメントホルダーの穴にアンテナアームの先端を差し込みます。 これで、逆三角形の「デルタ」が完成します。
8. 給電用のQマッチセクションのバナナプラグをアンテナアダプタの先端の穴に差し込みます(赤黒のプラグはどちらを差し込んでも同じです)。Qマッチセクションがぶらつくのでビニルテープなどでマストに固定します。
9. Qマッチセクションに無線機まで任意長の同軸ケーブルを繋ぎます。
10. 周囲に注意しながらマストを必要な高さまでのばします。 軽いアンテナですが、安全のためにステーをとるようにしてください。
以上で組み立ては完了です。
特に調整する必要はありませんが運用する前にSWR計で動作確認をしておいてください。 SWR値が異常に高い場合はどこかが接触不良になっている可能性があります。チェックしてください。
◆バドダイポールを御利用の方へ
今回は、ミニ・バドダイポールを使用したためアンテナアームはバドダイポールの半分しか使いませんでした。 そのため、バドダイポールではエレメントが長くなり過ぎますので、ロッドアンテナの先端(目玉クリップを付けたところ)からアンテナアーム用のアダプタま で全長が2m2cmになるようにロッドアンテナを縮めてください。この場合、若干長さの調整が必要になるかも知れません。
■既存のバドダイポールの活用として企画しました、「バドデルタループ・アンテナ」ですご興味のある方はお気軽にお問合せください。ほとんどの部材は市販のもので間に合うと思いますが、アンテナ用アダプタは自作になりました。